続・今日もやっぱりかえる顔

なぜか巻き起こってしまうまぬけな日常を、ひらがな中心のまぬけなテイストでお届けします。ときどき乃木坂46。

「そのビール飲まない方がいいですよ」の巻

僕はまーったくお酒が飲めません。
困ったものです。

ちゃんと練習したんですよ。
それでも上達する気配は
まーったくなしです。

ビールをコップで1cmぐらい飲むと
もうその日は終了になります。

終了と言えば聞こえはいいですが
何もかも終了という意味です。
僕を動かす電池がなくなって、
そこから一歩も動けません。

誰が来てどうしようが
まったく動くことができません。
できることと言えば
ぐーすか寝ることだけです。

どうでしょう?
お酒の才能はなさそうでしょう?
残念ながら体質的に合わないようです。

いろんな人を見てきましたが
ビール1cmで動けなくなるのは
どこをどう見ても僕ぐらいです。

お酒の席は好きですよ。
学生の時に鍛えられてきたので
場を盛り上げるのはとっても得意です。
だから飲めないお酒の会も
無理矢理連れて行かれるんですねえ。
困ったもんです。

うちの父親もお酒はかなり弱いです。
お酒の会があった時には
少ししか飲んでないのに
もうべろんべろんです。

そして「お父さんは、よっぱらったー」
からはじまるながーーい話を聞かされることになります。

べろんべろんの時の父親は
オーバーアクションです。
空手チョップのような手をしながら
「これはこう、あれはそう。」と
くさい息を吐きながら
自分なりの価値観の話を
一方的に話して終わりです。

そのままこたつに入ったまま寝てしまい、
「ふとんで寝ろ」っと
母親にあしげにされても
むにゃむにゃと言って寝ています。
とってもお酒に弱いです。

母親はと言うと父親以上に
これまたお酒に弱いです。

大晦日に実家では
夜ご飯を食べながら、おとそを飲んで
そして年越しそばを食べます。
もちろん紅白の演歌を聞きながら
年越しそばを食べます。
母親は一緒に演歌を歌っています。

母親は毎年、年越しそばを作る
と言ってご飯の時には張り切っています。
冷蔵庫を見てみると
なるほど
家族分のそばも買ってきてあります。

当然年越しそばが食べられると思って
夜ご飯を控えめに食べて
そばのための余裕を作っておきます。

しかしうちに母親は夜ご飯のおとそ
たったの1杯、おちょこ1杯飲んだだけで
確実に動かなくなるんですねえ。

真っ赤な顔をして、こたつに横になって
「ふーーーっ、ふーーーっ。」と言うだけで
まったく動かなくなります。
そしてきまって
「もう、おかーさんはだめ。年越しそばはつくらない!」
と言いだします。

おちょこ1杯のお酒により
張り切っていたはずの
年越しそばさえ作れなくなってしまうのです。

うちの母親の方も相当の重症です。
そしてきまって年越しそばは
毎年食べることができません。

それが毎年なのです。
少しは学習してくれたらいいのですが
まったく進歩が見られません。

そんな家族の中で
唯一少しだけ飲める人がいます。
一番上の姉です。

一番上の姉はビールの一番小さなカン
130mlぐらいのものを1本飲み干すことができます。
ちまたでは普通のことですが
うちとしては、大酒豪があられた的な驚きがあるのです。

しかももう1本飲むと言い出します。
もうヒーローの出現です。
「おいしい?」と聞くと
「うん、おいしいよ。」と言ってぐびぐび飲んでいます。
そんな姉が缶ビールを飲む姿を
僕は尊敬のまなざしで見守るばかりです。

そんな感じでほとんどうちの家族は
お酒を飲めないにもかかわらず
うちの冷蔵庫には必ずと言っていいほど
ビールが冷えています。

母親が言うにはお客さん用と
いうことらしいですが
お客さんが必ずビールを飲むわけでもなく
ましてや家族はほとんどビールを飲まない。

そうすると冷蔵庫のビールは
いつも冷蔵庫のお飾り的な存在で
いつそのビールを冷蔵庫に入れたのかさえ
わからないようになります。

ひょっとしたら何年前のビールかもしれません。
それをお客さんに今もなお出し続けています。
びーるがめちゃめちゃ発酵していそうです。
こわいです。

うちに来てくださるお客さんに
ひとことわたくしから
ご挨拶があります。

「そのビール飲まない方がいいですよ。
いつのビールなのかわかりませんから。」