続・今日もやっぱりかえる顔

なぜか巻き起こってしまうまぬけな日常を、ひらがな中心のまぬけなテイストでお届けします。ときどき乃木坂46。

「びんぼう問題はけんつながり」の巻

白いペンション型アパートをかりた僕が
最初にしようとしたことは
昼寝でした。
昼寝というよりも
夕方に寝るので夕寝と言った方が正確かもしれません。

しかし近くの踏切の音が
思ったよりとってもうるさくて
眠れなくなってしまいました。

すっかり眠気が覚めてしまった僕は
夕方に寝る方がおかしいと思って
結局起きていることにしました。

起きていることに決めたら
大きい電車の音もあんまり
気にならなくなります。

しかし何かやろうと思っても
家の中は本当になんにもなく
テレビを見ることさえもできません。
ぼーっとするしかありませんでした。

そのうち夜になりました。
結局僕は夕方寝ようと思ったときに
横になったまま、ずーっと天井を見つているだけ
だったようです。

夜になると
また新たな問題に直面することになりました。

夜になるとあたりは暗くなりますねえ。
きっと日本全国暗くなるはずです。
近所の家にも電気がちらほらと
ともります。

高台にあるこの白いアパートの
カーテンがついていない窓から街を見てみると
とってもきれいです。
駅のホームなんかも電気がたくさんついている様子が
はっきり見ることができます。

窓から見えるきれいな眺めを見てみると
あのきれいな光ひとつひとつの下には
幸せな一家だんらんがあるんだろうなと
急にしんみりしてきました。

「はい、おとうさんみかんよ。(市原悦子さん風女性の声)」
「どうも、ありがとう(宇津井けんさん風男性の声)」
という会話の横を
3歳ぐらいの男の子がはしゃいで走り回っていて
それを追いかける若いお母さんが
「ちょっと待ちなさい」なんて
言っている光景が目の前に浮かんできました。
ちょっと設定が古いところは
気にしないでくださいね。

おとうさんが宇津井けんで
おかあさんがまんがにっぽん昔話なんて
そんな家庭なんか
ほんとうは絶対ないとわかっていても
こんな時はどんどん気持ちが落ち込んでいくものです。

気持ちが落ち込むには理由がありまして
それというのも
残念ながら白いペンション風のアパートの部屋には
蛍光灯がなかったんですよ。

電気と水道がちゃんと
通っているのは確認済みです。
だから蛍光灯さえあれば
窓にカーテンがかかってないので
外から丸見えにはなりますが
部屋の中は明るくすることができます。

しかしその蛍光灯自体がないのです。
昼間のうちに夜の状況を予想できればよかったのですが
僕にとって夜の訪れは
まったく考えてもみないことだったのです。
僕は自分ながらに
東京はずっとお昼だけだと思っていたのでしょうか。
とってもまぬけです。

でもカーテンがないので
いとをかしな様子で
月あかりが入ってきたり
もともと東京が夜になっても明るいこともあって
しばらくたって慣れてくると
徐々に気にならなくなってきました。

暗さに慣れた僕を
今度は更に大きな課題がおそってきました。
それは寒さです。

3月下旬といえども
東京は僕の想像よりも
ずっと寒く感じました。

急に寒くなったって、
こっちとしては困ります。
準備ができていません。

ふとんもないし、着る上着もありません。
ましてや暖房器具なんてもってのほかです。

しかもその日の寒さははんぱではありませんでした。
かなり気温が下がってきているようです。
この時期にはめずらしく氷点下まで
気温が下がっていました。

そんなに気温が下がっているとは知らない僕は
寒い寒いとおもいながら長袖1枚で
ひとり寒さに耐えていました。

夜もふけてくると、ますます気温が下がります。
そうなってくるともう手足に間隔がなくなって
ふるえが出てくるようになりました。
ドリフのコントの
びんぼう長屋に借金取りがくるときに
病気で寝ている役の志村けんさんが
薬を飲もうとして、手がふるえて飲めないって
コントがありますが、
まさにそのくらい手がふるえてきてしまいました。

その後コントの方は
やっと薬を飲む水を口に含んだ志村けんさんが
何かをしゃべろうとしたひょうしに
水を全部口から出してしまうという
いつものパターンに続きます。
この説明でよろしいでしょうか。

一方僕は寒さの限界に達してしまい
アパートに泊まるのをあきらめ
ホテルに泊まることにしました。

アパートから外へ出ると
意外なことに気がつきました。
アパートの中と外では
そう温度が変わらないのです。
結構同じくらいの寒さです。

建物の中というのは
多少あったかいものなんでしょうが
白いペンション風建物の中は
あんまりあったかくないようです。
きっとそれは騒音問題と同じく
このアパートが他の建物と違い
プレハブだからなんでしょう。
こんなプレハブ作りだからこそ
だれもこのアパートをかりる人が
見つからなかったんですねえ。
身をもって体験して
よーーーくわかりました。

僕は室内まで寒くなるアパートに泊まるのをあきらめ
ホテルに泊まると決めたました。
しかしホテルまではとっても距離があります。
迷ったあげく、やっぱり歩いていける距離でもないし
道もよくわからないので
しかたなくタクシーをひろいました。

タクシーに乗り込むと
タクシー料金が3割り増しと書いてありました。
びんぼーなのになんで3割り増しなのか
聞いてみたかったのですが
運転手の方がこわそーだったので
聞くのをやめました。
今思うと、午後の11時を過ぎたので
割増料金になっていたんですねえ。

僕はこわそーな運転手さんに
「近くのホテルまでお願いします。」
というと
こわそーな運転手さんは
無言でタクシーを動かすだけでした。