続・今日もやっぱりかえる顔

なぜか巻き起こってしまうまぬけな日常を、ひらがな中心のまぬけなテイストでお届けします。ときどき乃木坂46。

伊藤万理華乃木坂46卒業発表に思うこと-アーティスティックと独特の感情表現の狭間のカリスマ性-

こん○○は、かえるがおです。

乃木坂46の伊藤万理華さんが、2017年の活動をもって乃木坂46を卒業されることが発表されました。

改めてこれまで6年間のアイドル活動を振り返ってみると、
デザイナーのご両親譲りの芸術性で、
乃木坂随一のアーティスティックなメンバーとして、
そしてバレエで培ったやわらかい身体を生かしたパフォーマンス
魅力的で独特な歌声自体を音楽として表現したボーカリストとして、
そしてなぜかおもしろいことが起こってしまう、まわりの雰囲気を和らげる存在として、異彩を放っていたメンバーが伊藤万理華さんだと思います。

これまでの乃木坂での活動への感謝と敬意を表して、卒業を発表された伊藤万理華さんについて、アイドル活動を見てきて感じた個人的な見解をまとめてみたいと思います。


出典:乃木坂46OFFICIAL YouTube CHANNEL『伊藤まりかっと。』

 

 

 

アーティスティックなアイドル

乃木坂を知っている方であれば、伊藤万理華さんというとアーティスティックな一面を思い浮かべることと思います。

流行に流されることなくとってもおしゃれで、まるで自分のブランドでコンセプトを持ち自分をコーディネートしているかのような、独特のファッションセンスで、乃木坂の中にも万理華ファッションを崇拝するメンバーもいるくらいでした。

ファッションセンスだけでなく絵の才能にも恵まれ、万理華さんらしいやさしいタッチの絵が、放送される番組のフリップの端っこに描かれていただけで、とっても得をした気分になったものでした。

伊藤万理華 ET
出典:テレビ愛知「乃木坂って、どこ?」#103
※このETが生田さんのおぢさん型ETにインパクトで持っていかれるというのも、まりっかさんらしい。


アイドルに限らず同年代くらいの人にとっておしゃれに興味があるのは当然だし、アイドルというカテゴリに限ってみても、おしゃれなアイドルはたくさん存在します。ではおしゃれなファッション系のアイドルと、万理華さんの決定的な違いは何なんでしょうか。

 

ファッション系アイドルとの決定的な違い

おしゃれなアイドルと万理華さんの決定的な違いは、何もないところから自ら作り出す創作スキルだと思います。

かの漫画家でありコラムリストの小林よしのりさんは『まりっか'17』は犯罪だと評しました。


出典:乃木坂46OFFICIAL YouTube CHANNEL『まりっか’17』


チームまりっかによる 『まりっか'17』のPVはアイドルというカテゴリを越えて、独特の声の魅力を生かして韻を踏む歌詞により、まるで歌声自体が楽器で奏でるかのように衝撃的でした。

またバレエで培ったスキルを生かした「のびやかでなめらかでしなやか」なダンスでのパフォーマンスは、アイドルの個人PVだったにも関わらず、芸術性をプラスさせることになりました。

それだけにとどまらず、監督の福島真希さんや、振付のすがおなぎささんだけではなく、ご自身もスタイリストとして参加してチームまりっかは再集結し、名作『伊藤まりかっと。』を発表することになりました。「伊藤まりかっと。」のPVにおけるかつてない評価は、みなさんが知っている通りです。


出典:乃木坂46OFFICIAL YouTube CHANNEL『伊藤まりかっと。』


「のぎ天」では名作堀辰雄の「風立ちぬ」を自ら監督となって映像化し、そのこだわりのシチュエーションと構図で、本物の映像監督かと思うくらいの高いクオリティの映像作品を提供していました。

世界的有名な広告賞のONE SHOW、世界最高峰の広告賞のカンヌライオンズの連続受賞も、本当はすごい快挙にも関わらず、万理華さんが受賞したことを考えると、世界的に認められたことも当然の結果ではないかと思えてしまうのも不思議です。

伊藤万理華 『GRAVITY DAZE 2』「重力猫」出典:YouTube『GRAVITY DAZE 2』「重力猫」


趣味の、というか一部は趣味だったというべきなのかもしれませんが、苔(こけ)、錆(サビ)、鉱物も、気が遠くなるような時間をかけて、作り出していくことが必要で、何もなかったところから作り出していく万理華さんらしい趣味だったと思います。

万理華さんの場合にはおしゃれなファッション系アイドルと異なり、何もないところから自分で創作物を作り出してきたアイドルだ思うのです。

伊藤万理華 コケ探訪出典:テレビ愛知「乃木坂工事中」#009

 

感情が溢れる演技での表現力

出演された映画『あさひなぐ』で一番衝撃的だったのは伊藤万理華さんの演技でした。今だから書けることですが、万理華さんの演技とCM起用について、今週ブログにアップするつもりで記事を書いているところに、公式ブログでの卒業の発表がありました。

演技をしている万理華さんはその愛くるしい笑顔も魅力的ではありますが、わたしが驚いたのはやっぱりそのセリフを話すときの声質に感情が乗っていることでした。あまりにその演技に驚いたので、個人的には1週間に3回も映画『あさひなぐ』を見に行ったほどです。

 


出典:YouTube乃木坂46『あさひなぐ』


『あさひなぐ』で演じた、なぎなた部の部長野上えり役は、部長として明るく部員を引っ張るシーンでは、持ち前の愛くるしいまぶしいくらいの楽しそうな笑顔で和気あいあいとした雰囲気を表現し、まじめで一途な部分はセリフを話す声から感情が溢れていて、見ている側の気持ちを揺さぶる説得力がありました。

ドラマ『初森べマーズ』での伊藤万理華さんの演技を見る限り、その声から必死な思いが伝わってきます。まじめで不器用だけど率直で一途な、まるで本当の万理華さんかと思ってしまうような、必死な思いに溢れていて、思わず感動してしまいました。

伊藤万理華 テヅカ氏出典:テレビ東京「初森ベマーズ」第12球


語弊があるかもしれませんが、声に感情が溢れているというのは、ポップスを歌うボーカリストに比べて、歌詞に感情を乗せる演歌歌手の表現方法のように、一見現代風ではないように見えるかもしれません。

でも、伊藤万理華さんの存在そのものがまじめで愚直で一途な分だけ、格好にこだわることなく、隠すことなくストレートに伝える感情表現に、気持ちが揺さぶられる自分がいました。

あさひなぐ 伊藤万理華
出典:YouTube乃木坂46『あさひなぐ』

 

椎名林檎型アイドル

では、伊藤万理華さんはこれまでどういう存在のアイドルだったのか、一言で表現するのは難しいと思うのですが、これまでのアイドル活動を振り返ってきて、椎名林檎型アイドルだったのではないか、と総括してみたいと思います。

椎名林檎さんの音楽や独特の表現方法のセンスのよさ、またファッションについても誰もまねできない独特の世界観がありますし、ロック調でありながら椎名林檎さんの歌声には、衝撃的なくらいに感情がこもっていて聞く者を独特の世界観にトリップさせる、演歌よりなによりメッセージ性あふれる表現に心を揺り動かされます。

アーティスティックそして泥臭いほどの飾ることない率直な感情表現。これがわたしが思う椎名林檎さんとの共通点です。


出典:テレビ東京「テレ東音楽祭」


椎名林檎さんは独特の楽曲やファッションの世界観、そして楽曲の雰囲気やメッセージ性から熱狂的な女性ファンが多いアーティストです。また、伊藤万理華さんも熱狂的な女性ファンが多い、同年代の女性にとってのカリスマ性にあふれたメンバーのように思います。

乃木坂の握手会があれば、Twitterでは万理華さんの服装の様子だけでなく服装のブランドをツイートする声が目立ちました。同じブランドの同じ商品を買ったとか、この時の服装はどのブランドのなんという商品だった、という分析もよく目にしました。

出典:乃木坂46OFFICIAL YouTube CHANNEL『伊藤まりかっと。』

それだけ、万理華さんのようにおしゃれになりたいと思う、ファッションにこだわりを持つ女の子の憧れであり目標なのが、伊藤万理華さんのような気がします。

兆し

伊藤万理華出演PVが世界最大の広告賞『カンヌライオンズGoldLion』を受賞、という記事の中で、かつてこのようなことを書いていました。


あまり触れたくはないのですが、ゴシップによると18thシングルで伊藤万理華さんが卒業を発表されると噂されています。
(中略)本来なら話題とするにも値しないと思っています。

ただし、胸の奥が「ドキッ」としたのもまぎれもない事実です。何か胸の奥にしまい込んでいたものを、見透かされてしまったような、そんな複雑な気持ちでした。

 

この時の正直な気持ちは、伊藤万理華さんの乃木坂卒業が近づいているかもしれないという予兆を確実に感じていながら、わざと見ないふりをしてきたわたしを見透かすかのように、真正面から事実を突きつけられたなんとも複雑な心境でした。

確かに伊藤万理華さんは乃木坂加入当時から才能はありましたが、6年間の乃木坂でのアイドル活動を通して、万理華さんしか持っていない独特のスキルとして進化してきました。


出典:乃木坂46OFFICIAL YouTube CHANNEL『アンダー』より温泉トリオ


ファッション、映像、PV表現、スタイリスト、CM、そして演技と、まりっかさんらしい唯一無二のスキルとして成長を遂げてきました。

ただ、これから先の個人としての伊藤万理華を考えた場合、それぞれの得意な分野に羽ばたいていくには、アイドルという肩書が必要なのかどうか、疑問を感じはじめていたのです。

アイドルから表現者伊藤万理華へ

乃木坂のメンバーとして必死に努力してきた6年間で、アーティスティックな面から泥臭いほどの飾ることない率直な感情表現まで、様々な分野のスキルを着実に伸ばしてこられました。

ただしその活動範囲は個人の活動としては幅広過ぎてしまうため、大学を卒業するこのタイミングに、これから自分の歩むべき方向性を考えると、そのスキルを深化統合したり、ある程度絞って取捨選択することが必要な時期です。

そう考えてみるとこれから先、はたしてまりっかさんにアイドルという肩書は必要だろうかと考えると、やっぱり次のステージに向かううえで、どうしてもアイドルという肩書が必要だとは思えないのです。


出典:テレビ愛知「乃木坂工事中」#009


現在人気絶頂の国民的アイドルの乃木坂にいれば、今後も仕事や収入にはきっと困ることもないでしょう。まして初めての福神に選抜され、長い間頑張ってきた分だけ、本格的にアイドルとして活動するにはこれからという時期です。

0から創造物を作り出すまりっかさんにとっては、集中して自分らしくこだわって創作活動をしてもらうことが、これからの文化を作りだして我々ファンに提供してもらうためには必要な環境だろうし

芯がしっかりしているまりっかさんにとって、安定した仕事や収入ということより、自分のやりたいことを自分の思うままにやってもらうことが、今後の自由な発想での創造活動には必要な環境のように思えてしまいます。

 

ファッションセンスにあこがれるカリスマ性についても、一般的にカリスマ性はユーザーの意見を取り入れて作り出していくものではなく、自分で作り出した世界観を提供していくことが、カリスマ性を生かす活動につながります。アイドルはユーザーとの距離感が少し近すぎるのかもしれません。


出典:乃木坂46OFFICIAL YouTube CHANNEL『伊藤まりかっと。』


これから何十年たってもデザイナーのコシノ3姉妹さんのように、いくつになってもきっとまりっかさんは芸術的な活動で、アーティストであり続けるように思えるのです。

そのために我々ファンが何ができるかと考えてみるとつらい選択ではありますが、新しい旅立ちを決意したまりっかさんに賛辞を贈り、今後の活動を後押しすることではないかと思うのです。

そう思うと「創造的芸術的表現者。」という言葉

この言葉の意味が今頃になって、ようやくやっとわかってきたような気がします。さすがまりっかさんのお父さんはよくご存知ですね。

アイドルから表現者へ。

まりっかさんは今乃木坂を巣立とうとしています。

乃木坂ファンでまりっかさんを独占するのではなく、おしゃれにあこがれる女性のために、そして芸術作品を世に提供してもらうために、大きな世界へはばたこうとしているまりっかさんを応援することしか、わたしにはできないような気がします。


出典:フジテレビ「FNSうたの夏祭り」


まりっかさんの乃木坂卒業は、本当にさびしいことではありますが、ご本人がご本人らしく存在できるために、わたしは最後までしっかりと笑顔で見送りたいと思います。自信を持って胸を張って、新しい世界へいってらっしゃいと声をかけたいと思います。

これから伊藤万理華として存在するための今回の卒業の発表を受け、今後の活動を心から楽しみに応援しています。これまで楽しい時間をありがとうございました。お元気で。