続・今日もやっぱりかえる顔

なぜか巻き起こってしまうまぬけな日常を、ひらがな中心のまぬけなテイストでお届けします。ときどき乃木坂46。

「びんぼうアパートのおとしあな」の巻

不動産屋さんのおねえさんに連れてきてもらった
3件目の最後のアパートは
白く小さいペンション風のアパートでした。

おねえさんに案内されて中へ入ってみると
やっぱり前の2件(お○け屋敷、おっ○んの原チャと遭遇)と
比べると、とってもこじんまりしていました。

おねえさんの説明によると
ばす・といれ別でキッチンつきの
5.5畳だそうです。

そういえば
5.5畳ってはじめて聞きましたよ。
どうやって5.5枚のたたみをしきつめるのかは
とってもなぞなんですが、
床はかーぺっとになっていたので
深く考えないことにしました。

小さいおしゃれな出窓もついていて、
白い壁が印象的な室内でした。
キッチンと部屋を隔てる扉が
引き戸だったんですが
おしゃれなガラスも入れてあるので
まあここらへんはがまん、がまんです。

外観だけでなく、
室内も気に入ってしまった僕は
おねえさんに
「やっぱり、ここにきめましたぁ」と
自分でもおどろくような
すっとんきょうな声をあげていました。
気に入ったアパートを見つけたことが
とってもうれしかったんでしょう。

するとおねえさんは
困惑した様子で話し出しました。
「実はここを希望する人はもう1人いて
 その人が3日後にまたくることになっているので
 先に契約されちゃうかもしれませんが
 どうしますぅ。」

どうしますぅと言われても
どうするもこうするもありません。

その人よりも先に契約しちゃうしかありませんよね。
その人にはわるいですが。
先をこしちゃいましょう

他の人に決まっちゃったら困るので
「僕はここに決めました。
いつ契約すれば、その人より早くなるんですか?」
とおねえさんに聞くと
「じゃあ、今日これからお願いします。」
と明るく、何の問題もないかのように答えてくれました。

今日上京してきたばかりで
今日はじめてアパートを探して
そして今日これから契約ですか?
ほんとに急なできごと続きです。
それでいいんでしょうか。

とってもおどろいて、おねえさんを見ても
おねえさんたら部屋のあちこちが気になるようで
入念なチェックを続けているだけで
まったく僕の思いに気がついてくれそうな
気配すらありません。

まあ考え方を変えてみると
今日上京してきたのだから
今晩泊まるところもないし
今日アパートを契約して、今日から住み始めるのも
いいかもしれませんね。
そう自分を説得して
「わかりました。お願いします。」と
答えるしかありませんでした。

僕の気が変わらないように
おねえさんたら
いつもよりよけいにスピードを出したようで
行きよりもずっと早く不動産屋に
着くことができました。

不動産屋へ着くと
早速契約書をつくることになりました。
ざーっと書いてあるところを読んでいくと
気になるところがいくつか出てきました。

まず建物の材質が
「木質プレハブ」って書いてありました。

「ぷれはぶ?」って何でしょう?
ふつう「ぷれはぶ」と言えば
「100人のってもだいじょーぶ。」でおなじみの
物置なんかで使われているものじゃないんですか。
まあこのさい本題には関係ないので
「物置に100人のってどうする!?」という
根本的な疑問はおいておきます。

おしゃれなぺんしょん型あぱーとは
プレハブでできていたんですねえ。
このときはあんまり気にしませんでした。
きっといい材質のプレハブなんかもあるんだろう
とでも思っていたんでしょう。

次に契約書を見て気になったのが
「女性限定」の文字です。

これはちょっと見すごすことができません。
僕はおもいっきりおとこです。
どこからどう見てもおとこです。

女性限定のアパートだったから
ペンション風のかわいい建物だったんですね。
ようやく納得しました。
って納得している場合ではありません。
早くおねえさんに僕がおとこであることを
うったえなければいけません。

「あのー、おねえさん。
 ここに『女性限定』ってかいてあるんですが
 僕はみてのとおり、いちおう、、おとこ、、、なんです、、が」
語尾が消え入るような声になってしまいました。

アパートに住めるか住めないかの瀬戸際という
こんな大切な問題なのにもかかわらず
おねえさんたらぜんぜんびっくりした様子もなく
「大丈夫ですから。大家さんにOKもらいました。
 まわりは全員女性ですよ。よかったですねぇ。」
と笑ってのんきに言っていました。

僕にとってみれば、ぜんぜんよくはないですよ。
「ほんとにだいじょうぶかなあこの人」という
思いでおねえさんを見てしまいました。
あんまり信用できそうにありません。

その後聞くところによると
僕の場合将来堅い仕事につくであろう
大学の学部に通うので
特別に許可が出たとのことでしたが
ほんとうかどうかあやしいものだと
現在僕は思っています。

その後えらそうな
おじさんに担当の人がかわり
おじさんと契約を結びました。
その間僕の頭の中は
「不動産屋さんは危険なはちきゅうさん(893)の
 お仕事の人が多いって聞くけど
 この人もはちきゅうさんかなあ?」と
そればっかり気になって仕方がありませんでした。

契約はすぐに終わり
これではれて白いペンションの住人となりました。

不動産屋さんから今度は歩いて
アパートへ向かいました。
アパートへ何とかたどり着くと
1日でアパートを決めることができた
充実感がただよってまいります。

それと同時に
白いペンションアパートが
東京での僕の当分のすみかです。
ここでこれから1人でがんばっていかなければなりません。
充実感と、不安とそして決意と
いろんな思いにひたりながら
アパートの中に入りました。

室内はなーんにもないので
あらためてみると
とってもひろーく感じました。
かっこいい出窓からは
西日が差し込んでいました。

今日は長旅の疲れと
そして不動産屋さんまわりで
疲れてしまったようです。
ちょっとへんな時間ですが
夕寝をすることにしました。
昼寝ではなく夕方寝るから夕寝です。

目を閉じてなーんにもない室内に横になります。
なーんにもないので
大の字に手足を広げます。
とっても気持ちがいいかんじです。

気持ちよく眠気を受け入れ眠りにつけそうです。
まさにそう思った次の瞬間です。
すごい音が聞こえてきました。

「カンカンカンカンカン・・・」
そのかんだかい大きな音は
どうやら踏切の音のようです。
高台に立つアパートのすぐ下の
小田急せんとやらの踏切の遮断機の音です。
しばらく続いたその後に
すごい音を立てて
電車が通り過ぎてきました。

電車が通り過ぎるまで
眠ることができません。
まあ待つしかないですねえ。
ぼーっと待っておりました。

やっと電車が通り過ぎましたたので
もう一度夕寝のやり直しです。
ぐっすり眠ろうと目を閉じました。
いいかんじだなあと思っていると
次の瞬間
またもや耳をつんざく踏切の音が聞こえてきました。
カンカンカンカンカンカン・・・。
また踏切の音です。

どうやらこの踏切はひっきりなしに
電車が通っているようです。
この騒音はたいへんですねえ。

それよりもおどろいたのは
踏切の音が室内の中ににもかかわらず
まったく小さくなっていないことです。

外で聞くより壁やガラスがあるから
少し小さくなるはずなんですが
室内で聞いていても
まったく変わらないんですよ。
これは困ったことになりました。

そういえば
思い当たるところがありましたよ。
このアパートは契約書に
「プレハブ」って書いてありましたね。

プレハブは普通住宅に使うのではなく
物置や倉庫に使う材質なので
とっても薄くって、ちゃちい材質のはずです。
価格も安いはずだし、
きっとプレハブでつくられた家だから
外の音がつつぬけなんですねえ。

でも電車でよかったです。
僕のいなかの家は線路のそばで
電車の音や遮断機の音は
僕は特別に
あんまり気にならないんですよ。
あんまり気にならない僕だったからいいものの
他の人だったらきっとたいへんだったことでしょう。

そう思ってきたら
不動産屋さんのお姉さんの行動すべてが
どんどんあやしく思えてきました。

1件目2件目とすごい古いアパートを案内されたので
3件目のアパートのきれいさがとっても目立ちました。
ふつうあの2件を見た後ならば
とってもきれいに見えて
3件目に決めるちゃうことでしょう。

それにこのアパートに着くとおねえさんたら熱心に
アパートの隅々までチェックしていました。
どうも不審な行動でした。
プレハブとやらの丈夫さを確かめてでも
いたのでしょうか。

さらにアパートを決めた僕に
今日契約しなければいけないと言っていたし、
女性専用なのになぜか僕が住むことができることも
とっても不思議です。

僕はあることに
やっとここで気がつきました。

きっとこのプレハブのアパートは
騒音の問題で
まったく借り手がいなかったんでしょう。
だから格安の家賃でかりることができたんですね。

全ての疑問点が
線でつながった瞬間でした。