続・今日もやっぱりかえる顔

なぜか巻き起こってしまうまぬけな日常を、ひらがな中心のまぬけなテイストでお届けします。ときどき乃木坂46。

日本型コミュニケーションが崩壊した日

こん○○は、かえるがおです。

今回は「日本型コミュニケーションが崩壊した日」と題して、お送りしたいと思います。

題名だけを見てみると仰々しくて難しそうに思えるかもしれませんが、本ブログはかえるがおですので、記事の内容が全然難しくなることはないかと思います。


今回記事を書こうと思ったのは、産経新聞の記事で「無添加、イカサマくさい」と書き込んだ顧客の情報を、ISP(プロバイダ)が開示しないのは、違法だとして訴えた回転ずしチェーン「無添くら寿司」を展開するくらコーポレーションが、敗訴したというニュースを見たのがきっかけでした。

コミュニケーション

 ※引用:産経ニュースWeb 

 

経緯


産経新聞の記事によると、株式情報を扱う掲示板に回転ずしチェーン「無添くら寿司」に対して以下のような書き込みがあったそうです。

「ここは無添くらなどと標榜(ひょうぼう)するが、何が無添なのか書かれていない。揚げ油は何なのか、シリコーンは入っているのか。果糖ブドウ糖は入っているのか。化学調味料なしと言っているだけ。イカサマくさい。本当のところを書けよ。市販の中国産ウナギのタレは必ず果糖ブドウ糖が入っている。自分に都合のよいことしか書かれていない」 

 ※引用:産経ニュースWeb 
 
この書き込みに対して、くら寿司側は風評被害による社会的影響で、株価も下落する要因となりかねないとして、書き込みした個人が利用している大手プロバイダ、So-netに対して書き込んだ人物の情報の開示を求めたところ、So-net側は書き込みは意見であり、真実だと主張して、係争となったとのことでした。


問題の論点は「無添くら寿司」の商品に、添加物が入っているかどうかというシンプルな問題だけです。

今回So-net側の勝訴した判決は、3つのことを意味していると思います。

正しいことが認められる

まず、1点目は正しいことが認められた判決という側面です。残念ながら世間はすべて正しいことがまかりとおるわけではありません。権力やその時代の勢い、政治的判断などで、正しいことが正しい判断をされないことも多くあります。

今回の論点は添加物が入っているかいないか、これだけでとってもシンプルです。
残念ながら、無添くら寿司側がすべてを公表していないので、公表されない以上So-net側が認められるのは、当たり前の結果だと言えます。

正しいことが司法の場で認められたということは、評価できる点だと思います。

くら寿司に求めるもの


ただしくら寿司を擁護するつもりはありませんが、私はよく、くら寿司に行きます。しかし、くら寿司に無添加を求めていません。「無添」というのはわたしの中では「無添くら寿司」というお店の名前です。

1皿100円でも顧客満足度が高いことで評判になったお店で、今年も顧客満足度は外食部門で1位です。

そもそも100円でリーズナブルなのに満足度が高いくら寿司に、ハードルが高いオーガニックや無添加を最初から求めていません。

それにすべて店内で加工するわけではありませんので、万が一、外国の委託先の加工の段階で少なくても何らかの加工がされていたとしても、驚くことはありません。もちろんくら寿司が知らない範囲で行われていた場合です。

無添加のオーガニック素材の寿司を提供するとしたら、高級店でもびっくりするような値段になるだろうし、無添加を求めている人はそういう超高級店に行けばいいだけです。

私がくら寿司に求めるものは、コストパフォーマンスです。ネガティブな今回の書き込みがあったとしても、きっとくら寿司には通い続けるでしょう。

監視社会の砦


この判例が意味することの2点目はISP(プロバイダ)の個人情報開示のハードルが、想像より高く、簡単に個人情報を開示しないことが明らかになった点です。

特に今回の場合大手企業同士のやり取りですので、従来の企業のパワーバランスを重視したなれ合い体質であれば、くら寿司側に個人情報が渡っていてもおかしくない場面です。

それを大手の企業からの開示要求でさえも、断固拒否したSo-net側の対応は称賛されるべきだと思います。

スマホの通信制限でもわかるように、プロバイダ側はだれが、いつ、どのWebサイトにアクセスしたかの情報はすべて持っているはずです。

町中の監視カメラ同様に、インターネット上での行動はすべて記録が残っています。このことで、意図的に悪いことにインターネットは使っていないけれども、勘違いされるようなサイトにアクセスしたことがある、すぐに消したが著作権のあるものをダウンロードしてしまったとか、細かいことを心配し、気にしている方も多いかと思います。

今回の判決から、プロバイダ側は1個人のアクセスログを、対大手の企業に対しても簡単に開示しない事実がわかったことも、インターネットを使うすべての人にとって、安心できる意味のあることだと思います。

 

ネットワーク

 

 

日本型コミュニケーションの崩壊


今回の判決の3つ目の意味は日本型コミュニケーションの崩壊です。

そもそもくら寿司はなぜ、1つの書き込みのことで提訴まで行ったのでしょうか。
「無添」という表記がそれだけ、くら寿司にとってみれば大切な言葉だったから、きっとこだわったのでしょう。

無添加かどうか疑わしいという書き込みは、くら寿司にとって、どうしても書いてほしくなかった内容だったと思います。本当に無添加かどうかは置いておいて、万が一真実であっても指摘されたくなかった内容だったと思います。

日本型コミュニケーションでは、欧米のコミュニケーションと異なり直接的な表現をしません。相手を慮って、表現しないで察してくださいという場面も多いです。

例えば相手の身体的特徴や性格的特徴があっても、面と向かって指摘したりはしません。断る時もはっきりは断りません。「善処します」という言葉もありますが、本来の言葉の意味とは違い、ほとんどが現状維持で新たな変化はありません。

正座



今回の書き込みの趣旨である「無添」について、私も正直書き込みの人と同じように、コストパフォーマンスの高さから、意図的ではなくても、無添加ではないだろうなとは思っていました。

現在の外食チェーンでまったくの無添加というのは、難易度が高すぎてきっと存在していないのでしょう。添加物が入っていても基準の範囲内であれば、身体への影響もないためまったく気にしていません。

従来の日本型コミュニケーションであれば、みんなが知っている周知の事実でもあえて、言葉に出して指摘はしません。
今回の書き込みは、いわばくら寿司のウィークポイントになりかねない問題を、真正面から指摘した書き込みでした。

その書き込みは直接的で具体的であった分だけ、欧米型の直接表現をするコミュニケーション方法によく似ています。

裁判は決着をつける必要があるのは理解していますが、本当はみんなが知っている社会通念で、あえて指摘をしない事柄を、正面から直接的に表現した欧米型コミュニケーションが正しいと判断した側面も、残念ながら感じてしまいました。

この点に日本型コミュニケーションが行われていた時代は、もう過去のことで、海外を相手に経済競争していく上では、欧米のコミュニケーション方に変わりつつあるのではないかと思いました。
 


最後に


今回はたまたまくら寿司が敗訴した話題でしたが、個人的にくら寿司は好きで月に数回行きます。くら寿司はお寿司だけでなく、ラーメンは煮干し鰹節系の出汁が効いていて、本当においしいです。

敗訴の判決に負けず、顧客満足度1位のプライドを見せていただき、ますます顧客を喜ばせる商品を出していただきたいと願いつつ、今日のかえるがおはおしまいです。