続・今日もやっぱりかえる顔

なぜか巻き起こってしまうまぬけな日常を、ひらがな中心のまぬけなテイストでお届けします。ときどき乃木坂46。

「風の日の自転車」の巻

最近風が強い日が多いですねえ。
昨日おとといと全国的にとっても風が強く
みなさんも悩まされたことでしょう。

風が強いと歩いていてもチャリンコに乗っていても
なかなか前に進みませんねえ。
体が斜めになって歩いている姿はたいへんそうです。

目にゴミが入ったりもします。
目にゴミが入ったらなかなか
とれなくて、そしていたいです。
コンタクトの人なんか
目にゴミが入ってよく道ばたで泣いています。
お気の毒です。

また髪型がえらいことになったりします。
朝時間をかけてブローされたであろう髪の毛が
逆立って歩いている人を見ると、かわいそうになってきます。

また進行方向がどっちであろうが、
風上を向いて前からだけ風を浴びて、
髪型を維持し続けようと努力されている人もいます。
そんな人を見ると「がんばれ」って応援したくなりますが
残念ながら抵抗むなしく、髪型がえらい惨状になっていくのを
ただ見守るだけだったりします。

風が強い日は困りますねえ。
僕はと言うと目にゴミがたまーに入るくらいで
しかもコンタクトもしていませんので
風の強い日でも、そんなにたいへんなことにはなりません。

しかし僕の場合また違った問題点が風の日には発生します。
おとといの風の日でした。
出張先へ向かう道の途中を歩いていました。
1台の子ども用の自転車が、この風のせいでしょうね、倒れていました。
黒いマウンテンバイク型のチャリンコで、
ハンドルのグリップのところだけ黄色です。
かごにはなにか宝物でも入っているんでしょう、
プラスティックの箱が入っています。
その自転車が倒れています。

何気なく倒れた自転車の横を通り過ぎようとした時でした。
「ちょっとまてよ。」
自分の心が僕にブレーキをかけました。
「チャリンコが倒れているこの状況を見て、子どもはどう思うだろう。」
ひとつの疑問がわき起こっていました。
「きっとかなしむだろうな。」
「かわいそうだから、自転車を起こして通り過ぎよう。」

その自転車に駆け寄ると、プラスチックの箱をかごに入れ直し
そして自転車を立ててその場を通り過ぎました。

しばらくしているとまた子どものチャリンコが倒れています。
急いでいるにもかかわらず、またもや誘惑に負けて
自転車を立てて通り過ぎました。

繰り返すことなんと3度。3度も自転車を立てるはめになりました。
僕の気持ちはすがすがしいかというと、そうではありません。
もう倒れたチャリンコは見たくない心境です。
見てしまうと立てないと気がすまないし、
かといって立てないで通り過ぎると後ろめたいし、
特に今日のように何台もあると、さすがにうんざりしてしまいます。
「もうチャリンコ見たくないーー。」というのが僕の本音です。

そして昨日です。
もっと風が強かったですねえ。
前の日チャリンコが倒れていた、同じ駐輪場の危険地帯の前を通りました。
「今日はチャリンコ倒れているなよ、倒れているなよ。」
うわごとのように繰り返しながら、ようやく駐輪場までやってきました。

今日も昨日と同じような道草はしたくはありません。
ドキドキしながらやっと駐車場にたどり着きました。
チャリンコが倒れていなかったら、何の問題もないわけです。
後ろめたいいやな気持ちにもならなくてすみます。
「チャリンコ倒れているなよ。」
祈るような気持ちで駐輪場の様子を見ました。

そしてそこに広がった駐輪場の風景は意外なものでした。
僕の想像もつかない様子がそこには広がっていたのです。
50台ぐらいありそうなチャリンコが、すべて倒れていたのです。
「こりゃ、まずい。全部立てなきゃいけないかな?」一瞬僕は思いました。

しかし僕の心は一瞬で答えを出してくれました。
「これだけの自転車ひとりで立てるのは無理、無理。」
こうしてはじめて倒れた自転車の横を
後ろめたい気持ちもなく、大手を振って通り過ぎたのでした。
めでたし、めでたし。