2018年CM女王として、CM業界に限らずファッション業界のトップランナー白石麻衣さん。乃木坂の顔と呼ばれ、乃木坂結成時からセンターを支えた生駒里奈さん。数々のファッション誌の表紙を彩り、男女問わず愛されて今や飛ぶ鳥を落とす勢いの齋藤飛鳥さん。
乃木坂の○○という形容詞で表現されることが多い、世間の認知度の高いメンバーをおさえて、乃木坂46の表題曲で最も多く、7回ものセンターを務めたのは西野七瀬というメンバーでした。
いつも乃木坂46のパフォーマンスでセンターで輝いていたはずの、西野七瀬さんの2018年末をもって乃木坂46卒業の発表は、乃木坂ファンにとってはかつて感じたことのないほどの衝撃でした。また、乃木坂メンバーやスタッフそして、芸能界にとってもショッキングな出来事だったことでしょう。
今回のかえるがおは、乃木坂史上一番多く表題曲のセンターを務めた、西野七瀬さんの乃木坂46からの卒業をテーマに個人的な思いをまとめてみたいと思います。
出典:坂道合同オーディションCM 西野七瀬(乃木坂46)編 - YouTube
乃木坂46のイメージ
乃木坂初の本格的な海外公演C3AFA香港公演で、乃木坂スタッフ作成のメンバー紹介VTRの中で、西野七瀬さんは「TheAce」と紹介されていました。どれだけ、乃木坂関係者からの評価が高かったのか、よく伝わってくるかのようです。
出典:C3AFA HONG KONG 2018 乃木坂46
ただし、乃木坂のエースと呼ばれるメンバーは、西野さん以外にも白石麻衣さん、齋藤飛鳥さんというメンバーも存在しますので、西野さんというメンバーが乃木坂の活動で積み上げてきた実績を表すには、少しものたりない表現のように思えます。
西野七瀬さんといえば、乃木坂最多のセンター回数からわかるように、乃木坂結成時のイメージ、「清楚で可憐」を具現化したメンバーのように思えます。
正確に言うと「清楚で可憐」をさらに見るものが感じる「守ってあげたい」までに昇華させたメンバーだと思います。
ファンだけでなくメディアでも、これまでの西野さんにアイドル活動に対して「守ってあげたい」イメージと表現される場面も、多かったように思えます。
守ってあげたいというイメージ
一方、わたし個人にとっては、これまでの西野さんのアイドル活動に対して、「守ってあげたい」というイメージをもったことは、一度もありませんでした。
「守ってあげたい」というイメージは、見ている側の感じた主観であって、それは西野さん自体を表す言葉ではないからです。
西野さん自身もいろんな人に守ってもらいたいとは思っていないでしょうし、振り返ってみると、乃木坂結成当時から西野さんの言動には、確固たる西野さんらしさのポリシーを感じることが多かったからです。
一個の人格として確固たる自分の価値観をもっている西野さんに対して、その精神力の高さを尊敬することはあっても、精神的に未熟なわたしが「守ってあげたい」と感じることは、とてもおこがましいことだと思っていました。
涙の本当の意味
デビューシングル『ぐるぐるカーテン』のキャンペーンでの京都四条大橋でのティッシュ配りで、うまく配ることができなかった西野さん。思わず涙がこぼれたシーンは、今でもとても有名なエピソードです。
出典:テレビ愛知「乃木坂って、どこ?」#019
初期の「乃木坂って、どこ?」のエピソードトークで、「太った鳩が好き」というエピソードが、ほかのメンバーのエピソード(正座しながら寝る松村沙友理、まつげにシャンプーとリンスをする中田花奈)と比べてインパクトが弱いと感じてしまい、語り出すと同時に涙が溢れてしまった西野さん。
出典:テレビ愛知「乃木坂って、どこ?」#031
橋本奈々未さんに抱きつくことはできても、白石麻衣さんに抱きつくことができないと涙したこともありました。
これらのエピソードから、一見かよわく見えて、華奢でおとなしく「守ってあげたい」というイメージが、ファンの間で確立したように思えます。
3つのエピソードの共通点は、「うまくいかない」という思いです。
うまくいかないこと
西野さんに限らず女性の流す涙は、一見するとやさしくておとなしくて、かよわいイメージを持つ男性ファンも多いと思います。
しかし西野さんの涙は「うまくいかない」ことに流す涙です。一般的にかよわい女性が流す涙とは、この点が異なります。「うまくいかない」と思うためには、まず自らが考える「こうありたい」という思いが必要です。
「こうありたい」という思いをあらかじめもっていてこそ、初めて実際の現実の出来事と比較することができます。「うまくいかない」という涙は、現実で起こっている出来事とのギャップから流す涙です。
京都の四条大橋では、その直前に行った嵐山も含めて人通りが少なく、なかなかティッシュ配りがうまくいかない状態が続いていました。
ファンからの情報でやっと人通りが多い四条大橋へやってくるも、無名な乃木坂のティッシュを受け取ってくれる人はごくわずかで、キャンペーンを全うすることができないという、キャンペーンをがんばりたいけど、初めてのことでうまくいかないという葛藤の涙だったように、個人的には感じました。
エピソードトークの時でも、考えに考えて「太った鳩が好き」話をあらかじめ準備してきたものの、奇想天外な正座して寝るエピソードの松村沙友理さんや中田花奈さん、そしてOAされなかったであろうメンバーのエピソードトークを聞いて、せっかく準備してきたのに、エピソードのインパクトが弱い、という葛藤から流す涙のように思えます。
その証拠ではありませんが、「太った鳩」のエピソードで大爆笑をとった西野さんは、泣きながらもすぐに笑いだして、泣きながら笑っているんですよね。収録前に自分が持っていたイメージが達成された瞬間だったのではないでしょうか。
このことからも、涙していた頃の西野さんも、自分の中に確固たる強い自分の基礎は、すでにできあがっていたんじゃないかと思うのが、これまで2回に渡ってかえるがおの記事の中で、西野さんの心理を考えて学んできた、かえるがおのなりの結論だったのです。
卓越した切なさを表現するアーディスト
では、これまで「守ってあげたい」というイメージを持つことがなかったわたしにとって、西野七瀬さんはどんなメンバーだったかを考えてみたいと思います。わたしにとって西野さんは、「切なさ」を、類をみないような高いレベルで表現できるアーティストだったのではないかと思います。
西野さんのソロ曲はたくさん存在しますが、『ひとりよがり』『ごめんね、ずっと・・・』『もう一つの夢』といったスローバラードの楽曲が多いです。たんたんと歌う中に感情が溢れてくる西野さんならではの楽曲です。
しかしながら、西野さんの切なさが高いレベルで表現されている楽曲で、一番わかりやすい例として、アップテンポでリズミカルなソロ曲『光合成希望』をあげてみたいと思います。

『光合成希望』は守ってあげたいと感じてしまう、ファンが西野さんに持つおとなしいイメージの歌詞を、アップテンポの曲に合わせて綴る楽曲です。でもこのアップテンポな楽曲であっても、いやアップテンポのリズミカルな楽曲でこそ、西野さんの声に切なさが溢れてきます。
旋律に忠実にたんたんとリズムにのっている歌声なのに、その歌声の響きから切なくはかない雰囲気を感じてしまうのは、わたしだけでしょうか。
女優さんとしての西野さんも同様です。「初森ベマーズ」映画版「あさひなぐ」のように、けなけなげに努力を続けるヒロイン像が、西野さんらしさが光る役柄のように思います。
出典:テレビ東京「初森ベマーズ」#11 夏の終わり、決戦の始まり
多くは語らなくても、そのほんの一言の声の響きや余韻、雰囲気から切なさが、そして儚さが溢れてきます。台詞がなくても、大げさな演技がなくても、清楚で可憐な西野さんから目を離すことができず、気づいたら思わず息をのんで見入ってしまうような魅力に溢れています。
女優さんをたくさん知っているわけではありませんが、わたしが知っている女優さんの中では、高いレベルでの切なさ、儚さを表現できる女優さんは、西野七瀬さんしか思い浮かびません。
出典:YouTube乃木坂46 あさひなぐ
切なさの正体
ではなぜ西野さんは歌唱パフォーマンス、演技ともに高いレベルで「切なさ」あるいは「儚さ」が表現できるのでしょうか。
西野さんは大げさではなく、感情を爆発させて表現するタイプの方ではありませんので、あらかじめご自身で意図して切なさを表現しているとは思えません。というより、精神力の高い西野さんは、どこへいってもどんな場面でも、自然体で凛として存在されています。
わたしが考えるに、きっとあのあふれ出る切なさは、日頃から考えて自分の価値観をしっかり持っている、西野さんの内面からにじみ出てくる、西野さんらしさという、天性の生まれ持った切なさのように感じます。
デビュー当時、まだブレイクしていない頃、おしゃれ番長に選ばれた時にも語っていた、確固たるファッションセンスへのこだわりや、こうありたいという思いが常に内面にあるからこそ、すでにこの頃から西野さんは、内面にしっかり考えた自分の明確な価値観を持っている片鱗が見受けられます。
乃木坂の活動の経験により、その精神力の高さが開花して、いつも変わらない自分をしっかり確立している思いが、切なさとして存在からにじみ出て、ファンに届くのではないかと、今になって感じるようになってきました。
出典:テレビ愛知「乃木坂って、どこ?」#009
西野七瀬乃木坂46卒業の意味
乃木坂メンバーの卒業という話題は、いつも胸が締め付けられるような気持ちになってしまう話題です。しかも乃木坂で輝き続けてその高い精神力が開花した西野さんであればなおさらです。
西野さんの乃木坂からの卒業は、ファンのみならず一番衝撃を受けたのは、乃木坂メンバーやスタッフの方だったのかもしれません。それだけ西野さんの卒業は非常に衝撃的な出来事でした。
はじめて卒業の報に触れたときには、一瞬現実かどうかを疑い、いくつものニュースサイトを調べたくらいです。これから西野さんがいない乃木坂はどこに進んでいくのか、途方に暮れたのも事実です。
そんな乃木坂ファンもきっと多かったことでしょう。
でも、精神力が高く確固たる自分を持っている西野さんに目を向けてみると、どうでしょうか。
確固たる自分をしっかり持っているのに、乃木坂にいることで、多くのメンバーに合わせて協力しながら、チームで仕事を続けなければなりません。
マイペースで自分をしっかり確立している西野さんにとってみると、集団行動より自分の好きなように好きなペースで、好きな分野に進んでもらうことこそが、西野七瀬という存在の本当の意味での魅力が見れるのではないかと思うようになりました。
出典:テレビ愛知「乃木坂工事中」#001
乃木坂という枠が取り外された今こそ、西野七瀬さんは自分の意思に任せて、自分のペースで、自由に空へ羽ばたくことができます。
西野さんが何を考え、どんな活動をイメージしているのかわかりませんが、周りに合わせる必要のない西野さん自身を生かすことのできる現在の環境こそ、真の西野七瀬らしさを見ることができるのではないでしょうか。
感傷という感情だけで乃木坂に縛り付けておくことは、決して西野さんのためになるとは思いません。乃木坂ファンであれば、そして西野さんのことを一番に考えるのであれば、西野さんらしく自由に羽ばたける環境に巣立っていく西野さんを、祝福すべきではないかと思いました。
最後に
これまで幾多のメンバーが乃木坂46を卒業していきました。
メンバーの卒業の報を聞くたびに感傷的になって、悲しい思いを抱えてきたわたしでしたが、今回の西野さんの卒業は、よくよく考えてみると、本当はとてもおめでたいことではないかと思うようになりました。
西野さんがやっと自分らしく、自分のペースで歩いて行くための卒業です。
出典:坂道合同オーディションCM 西野七瀬(乃木坂46)編 - YouTube
これまで卒業した多くの乃木坂メンバーの中で、きっと一番おめでたいと祝福できる卒業のようにやっと思えるようになりました。
西野七瀬さん乃木坂46卒業おめでとうございます!
これからの西野さんのご活躍を願って、今日のかえるがおはここまでです。
今回の記事は、ただの乃木坂ファンでしかないかえるがおの気持ちをまとめただけですので、現実と異なることも多いと思います。ご了承ください。