こん○○は、かえるがおです。
今回は乃木坂46の西野七瀬さんの演技力について、かえるがおなりにまとめてみたいと思います。
映画『あさひなぐ』でも主演の東島旭を演じた西野さん。
西野さんの演技はとっても自然体で、誇張していなくて、オーバーなアクションやセリフもないのに、なぜかゆったりと落ち着いていて、現実離れしたストーリーでも西野さんがそこに登場人物として存在するだけで、リアリティを持った雰囲気に変えてしまう、個人的にはとっても不思議な存在の役者さんだと思っています。
本ブログでもよく触れているように、わたしの精神力くらいでは西野さんの存在をどれだけ言葉を使っても、書き表すことはできません。それだけわたしの精神力を凌駕した存在が西野さんだと思います。
ただ、ドラマ初森べマーズの再放送をもう一度見てみたときに、そのリアリティの秘密がほんの少しだけ見えたことがあったので、今回は記事にして残しておきたいと思います。
出典:テレビ東京「初森ベマーズ」#11 夏の終わり、決戦の始まり
- 第11球「夏の終わり、決戦の始まり」は名作回だった
- 第11球「夏の終わり、決戦の始まり」のストーリー
- 強大なライバルが内面に秘めたやさしい思い
- 失踪したお父さんの真実を尋ねるシーン
- 決勝戦で戦う意味を見失ったシーン
- 荒唐無稽な場面を凌駕するリアリティ
- 西野七瀬という女優の演技の特徴
- 西野七瀬のセリフのリアリティ
- まとめ
第11球「夏の終わり、決戦の始まり」は名作回だった
初森べマーズといえば、乃木坂46メンバーが総出演し、テレビ東京で2015年に放送された有名なドラマ作品です。
お父さんの思い出、友達との思い出がつまった「初森公園」を守るために、ソフトボールの超強豪校「セント田園調布ポラリス学園」に無名の素人集団「初森べマーズ」が奮闘するというストーリーでした。
最終回の感動的なストーリーと西野さんの歌声のBGMのシーンに心を打たれたファンの方もきっと多かったことでしょう。個人的には最終話12話のセント田園調布ポラリス学園との決着の場面が、とても印象に残っているドラマ作品でした。
ただし、改めて再放送を新鮮な気持ちで見てみると、最終回の前の放送回である第11回「夏の終わり、決戦の始まり」を見て、主人公ななまるを演じる西野さんとライバル権田原キレイを演じ白石麻衣さんの演技が、アイドルとしてというより、女優としてのプライドをぶつけ合うように競演していたことに、改めて気づいて驚いてしまいました。
こんなに第11話ってすごい内容だったのかと、自分の目を疑ったくらいです。女優としての2人の競演に、個人的に最終回を上回る名作回と思えるようになりました。
第11球「夏の終わり、決戦の始まり」のストーリー
第11球「夏の終わり、決戦の始まり」のストーリーは、いよいよ決勝戦でのライバルの直接対決を前にして、西野さん演じるななまると、白石さん演じる権田原キレイのそれぞれの立場での決勝戦へ挑む前の気持ちを丁寧につづった、主人公とライバルの心境の対比が描かれた回でした。
決勝戦へ臨むそれぞれの思いだけではなく、それぞれがかかえている家族という重い課題に対しても向かい合って、家族への思いも整理して新たな段階へと覚悟を決めて
決勝戦を迎えるまでの心理描写を、とっても丁寧に2人の思いを対比しながらつづられています。
ほかの回との根本的な違いは、ストーリーの進展がないことです。
ほかの回であれば試合が進むとか、状況が変わるとかストーリーに何かしらの展開が見られるのですが、過去の10回の放送回と比較して、時間軸がまるで止まったかのように、2人の内面の思いの対比をとても丁寧に表現されただけの回です。
ストーリーの展開がなく、心理描写に特化した回なので、女優さんの演技力次第では間延びした感の印象を受ける可能性もあり、ともすれば最終回までひっぱるつなぎの回と思われても仕方ありません。
この回を中身が濃い心理描写が実におもしろい回に変えた存在が、女優としての西野さんと白石さんだと思うのです。
強大なライバルが内面に秘めたやさしい思い
まずは白石さんの演技を振り返りたいと思います。
この回に限らず、白石さんのすごいところは、「初森べマーズ」という作品を通して
ライバルの敵役に徹しているプロフェッショナルなところです。
また、ライバルとして表面的には強大な存在でありながら、実際の白石さんらしい、お母さんへのやさしい思いを内に秘めた難しい役どころです。
第11話ではチーム一丸となってまるで決勝戦を迎えていることすら、夏の思い出のひとつかのように楽しんでいる初森べマーズナインを見ながら、ライバルでありながら、内面ではそのチームワークのよさを認めているという内容でした。
車の後部座席で初森べマーズナインを見つめる様子や、べマーズナインが陽であれば、後部座席で画面上ピントもあっていない、内に秘めた思いを表現する陰の覚悟ともいうべきものを見事に表現されていました。
お父さんの再婚話に戸惑っていても、真のお父さんの望みは自分の笑顔を見ることだったということに理解を示し、思春期の女の子として不器用ながらも、微妙な距離感を保ちながらもようやく父親に理解を示すという、相反する感情が同居する強大な分だけもろい内面を併せ持つ難しい役柄を見事に表現されていました。
白石麻衣という女優の特徴を考えた場合、初森べマーズを見る限り、複雑な内面の相反する思いを表現するのがとてもうまい女優さんのように思えました。すばらしい演技でした。
失踪したお父さんの真実を尋ねるシーン
第11話「夏の終わり、決戦の始まり」での西野さんの演技は、大きく分けて3つの演技に引き込まれる見どころのシーンがありました。
1つ目は、失踪したお父さんが、本当はお母さんと自分を残して女の人と出て行ったことをお母さんに尋ねるシーンです。
お母さん役を演じるいとうまい子さんとの2人のシーンで、たった2人だけの結構長回しのシーンでしたが、大げさなセリフではなく、話をしていなくてもその存在感だけで、ドラマの世界観に引き込まれる西野さんらしいシーンでした。
このシーンは大きな動きもなく、そんなに激しい言葉もありません。本当に女優としての西野さんの演技にかかった大切な場面でしたが、自分が守ろうとがんばってきた公園を守る意味がなくなった衝撃を表すには、西野さんには大きなセリフや動きがいらないことに驚かされたシーンとなりました。
決勝戦で戦う意味を見失ったシーン
2つ目のシーンは、初森べマーズの鎌田監督に、お父さんが女の人といなくなったことを告げるシーンです。
このシーンはドラマのストーリー上重要で、公園を守る理由がなくなったななまるが、もっと大切な新たな決勝戦を戦う理由に気づく場面へとつながる、大切なシーンです。
西野さん演じるななまるは、鎌田監督にこう語ります。
女の人と出て行ったって
わかんなくなっちゃって、わたし何のために頑張ってきたのか
何のために投げるのか
こんな気持ちで投げたって…
この場面の状況から、内面の葛藤を表すには激しい言葉の応酬になってもいい場面ではあるのですが、西野さんは涙しながらどこか俯瞰していて、目の前に起こっている現実を心の中で整理するために、信頼している鎌田監督に思いをぶつけているようにも見えてしまいます。
その俯瞰して現実を整理しながら言葉に綴る様子が、教え子のななまるを、名監督として新たな目標へ向かわせる鎌田監督の言葉への、今後のストーリー展開にもつながっていて、なかなかよい名場面だと思いました。
このシーンも比較的長いシーンでしたが、あっと言う間に時間が過ぎてしまうのも、告白、気持ちの共有、新たな目標へという、スムーズな気持ちの変化の表現の演技があったからか、思わず世界観に引き込まれて見入ってしまいました。
荒唐無稽な場面を凌駕するリアリティ
3つめのシーンが、魔球を開発するために練習のしすぎでインピンジメント症候群になり、病院からも運動を止められているにも関わらず、やっぱりお父さんを信じて、そして新たな目標となったチームメイトのために、決勝戦も投げたいという思いを鎌田監督にぶつけるシーンです。
ぶっちゃけ、このシーンに用意されたストーリーの状況は、普通に考えると笑っちゃうくらいに現実的ではありません。
まず現実は魔球を投げることができません。このドラマでは魔球について、重力と揚力が拮抗して球が止まると説明していますが、そんなわけがぁありません。この説明だと垂直方向の説明にしかならず、重力に負けないで同じ高さでまっすぐ進むという説明でしかありません。
投げたからにはキャッチャーに向かって進行方向に進んでいるので、この推進力に負けない逆回転かなにかの、ピッチャー側への強烈な力が加えられて、その力が拮抗した時に初めて球が止まるんですよね。
インピンシメント症候群も野球のピッチャーや加齢により顕著に現れる症状で、ウィンドミルでも下手投げのソフトボールであれば、インピンジメント症候群になることはほとんどありません。
こんな現実的な説明も、すべてふっとぶようなすごいシーンが、このシーンだったのです。
西野さん演じるななまるは怪我をおして、鎌田監督に決勝戦への出場を訴えます。
私は父を信じます。
それに昔の思い出だけじゃない
あの公園にはみんなとの、初森ベマーズの思い出も詰まっているんです。
あの公園は、はじまりの場所だから…
だから絶対に守ります。
このシーンの注目ポイントは、西野さん演じるななまるがほとんど瞬きをしないことです。そして瞳の動きもありません。
動きが激しいシーンでなくても、言葉を激しくなくても、すごい自己犠牲の覚悟を表現するのに、西野さんの場合にはやっぱり言葉も動きも必要ないんですね。西野さんの目だけで、その必死な覚悟を表現するには十分でした。
このシーンを大きなテレビで見たんですが、シーンに気持ちが入り込んでしまって、シーンが終わったとたんに映画の名場面を見たかのような虚脱感に包まれてしまうほどでした。
セットがしっかりしているわけでもなく、BGMで盛り上げるシーンでもないのに、視聴者の気持ちをとらえる西野さんの演技にとても引き込まれてしまいました。
西野七瀬という女優の演技の特徴
西野さんの演技を振り返ってみて、わたしにも見えてきたことがあります。
それは目で訴える表現力のすごさです。
大げさな言葉や体の動きがない分、西野さんの目には真実が溢れています。
その思い、決意、悲しみ、憂いが西野さんの目から雄弁に語っているかのようです。
そして本当にすごいと感心するのは、瞳がまったく動かず、そして瞬きもしないことです。
ぶっちゃけ、演技だからセリフ覚えて意図して演出したうえでそこに存在しなきゃいけないわけで、セリフを思い出すときには、心理学上瞳が上に動くはずです。
本番で緊張していたり、演技と言う自然の姿ではない違和感にまばたきをしてしまうのが、普通の人の反応です。
それが西野さんの演技にはないのです。
瞳が動かない分、まばたきをしない分だけ、西野さんという役者が雄弁に語る目での演技力が余計に光ることになり、視聴者である私は、意図せずどうしてもその世界観に引き込まれてしまいます。
なぜ、瞳が動かないのか、なぜまばたきをせずに撮影に臨めるのか、その理由はわたしレベルにはわかりませんが、想像する限りやっぱり人間的な器の大きさが関係しているように思えます。
どんなときでもどっしり構えて、自分のペースで自分の表現ができる器の大きさを物語っているように思います。わたしには残念ながらその程度のことしかわかることができません。
西野七瀬のセリフのリアリティ
西野さんの演技を考える上で、もう一つ重要な要素がセリフの言い回しだと思います。
西野さんは大げさな表現ではなく、声を張り上げて主張することもありません。そして表現がうまくたくさんの言葉で表現するわけでもありません。
でもそのセリフを話す西野さんの声に含まれる、ちよっとかすれたようにも聞こえるその淡々とした声の響きにとても感情が溢れていて、セリフにリアリティをプラスしているような気がします。
乃木坂の歌うまメンバーをタイプ別に分類した記事で、「感銘的ボーカリスト」と称したその歌声との共通点でもあるような気がします。
西野さんが歌えば声を張り上げなくても淡々と歌っていても、その淡々と歌うその歌声の雰囲気が雄弁にメッセージを伝えていて、とても感動してしまうわたしがいます。
ドラマのセリフも、ぽつりぽつりと率直に語る西野さんのセリフには、なぜか真実が宿っていて、魔球やインピンシメント症候群という荒唐無稽な背景を描いていても、西野さんがそこにたたずんでいるだけで真実味が溢れる要因になっているような気がします。
きっと西野さんって、演技だけではなくプライベートでもきっと変わらないんでしょうね。その言葉には真実が溢れていて、絶対的に信頼できる存在が西野七瀬さんなのではないかと、今回演技力をまとめてみて感じてしました。
まとめ
初森べマーズではヒロインとライバルに分かれて、見事な競演を見せた西野七瀬さんと白石麻衣さん。
ドラマのストーリーだけでなく、女優としても対照的な演技で競い合ったライバルだったような気がします。
白石さんは相反する強さとやさしさを併せ持つライバルを、その器用さを生かして見事に演じ切りました。
白石さんは権田原キレイ役を見ている限り、今後もいろんな幅広い役に対して、持ち前のものまねが上手なことからもわかる対応力の高さを生かして、役者さんとしても活躍されることが多くなるのではないでしょうか。
わたしが見ている白石さんの内面も、強さとやさしさが同居している人のように思えます。乃木坂を時には厳しく、長年先頭に立って引っ張ってきた存在として、そして内面はメンバー思いでメンバーに支えられて活動を続けることができるという、想像を超えたやさしさを備えた存在として、活躍されているからこそ、複雑な心理描写がうまいのかもしれません。
今後はどんな作品で、どんな演技を見せてもらえるのか楽しみはとっても広がります。
一方西野さんのリアリティは、正直驚きでもあります。こんな女優さんが乃木坂46のメンバーであること自体にも驚いてしまいます。
西野さんの演技のリアリティは、シーンに説得力を与えて、視聴者をドラマの世界観に引き込む魅力に溢れています。このシーンは高山さんといくちゃんもとってもいい顔してますねー。本当にすごいシーンが切り取れました。
けなげなに努力をするヒロインや、不器用だけれども一途に生きる女の子を演じる役者さんを考えると、残念ながらわたしは西野さん以上の演技を披露できる役者さんを、あげることができません。
メッセージ性あふれる音楽性、乃木坂だけなく女の子全体があこがれるファッション性、そしてリアリティあふれる演技力と、西野さんは今後いったいどんな分野へ進まれるつもりなのでしょうか。
どの分野に進まれたとしても、将来がとても楽しみな歌手であり、モデルであり、女優であり、そして乃木坂46の西野七瀬さんであることに気がついた今回のかえるがおでした。
名作「初森ベマーズ」をもう一度見返してみたくなりました。できればベマーズナインが語るコメンタリーも収録されている、Blu-rayBOXがおすすめです。コメンタリーでは、「撮影中にそんなこと考えてたんだー」という意外な裏話も西野さんから語られています。
主演映画『あさひなぐ』が間もなく公開です。ぜひリアリティ溢れる西野さん白石さんの演技を劇場で確認いただき、この記事で感じた感動を乃木坂ファンの皆さんと共有できたらうれしいです。