毎年、夏や年末に数時間の音楽特番が放送されます。その音楽番組には、様々なアーティストが登場するのですが、多くのアーティストを見れば見るほど、乃木坂ファンのわたしはなぜか乃木坂のパフォーマンスを見て、誇らしく思ってしまいます。
では、なぜ誇らしいと思ってしまうのか、その理由が今回の記事を書くきっかけとなりました。
一言でアイドルと言っても、そのパフォーマンスに様々な特徴のアイドルが存在します。
時代を席巻したAKB48は会いに行けるアイドルというコンセプトと、カラオケでみんながまねできる振りでファンをつかみました。BABYMETALはアイドルとヘビメタの融合、ももいろクローバーZは全力のパフォーマンス、そしてNiziUは韓流の原色使いの華やかなイメージとキャッチーな振りで人気を集めています。
アイドルと言っても、どのアイドルグループもそのパフォーマンスに特徴を持っていることがわかります。
では、乃木坂46のパフォーマンスは、どんな特徴で他のアイドルとどのように差別化を図っていて、なぜ見ていて誇らしいと思ってしまうのか、今回は1ファンとしてその理由を考えてみました。
出典:テレビ朝日『ミュージックステーション ウルトラSUPER LIVE2020』
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従来のパフォーマンスの特徴
初期の乃木坂46のパフォーマンスは、目標でもあったAKB48の影響を多大に受けていた楽曲も多かったように思えます。もちろん社会へのアンチテーゼを主題とする4thシングル『制服のマネキン』という楽曲もありました。
このアンチテーゼというテーマは、後に姉妹グループでもある、平手友梨奈という表現者を擁する欅坂46に継承され、成長を遂げていくのですが、今回の話題とははずれてしまうので、別の機会にでも触れてみたいと思います。
初期の乃木坂の楽曲は、今でもパフォーマンス中にメンバーの笑顔に触れることができます。笑顔というパフォーマンスは、メンバーそれぞれの個性や特性を感じることができるパフォーマンスでもあります。現在でも初期の乃木坂の楽曲は、メンバーの個性を感じることができる貴重な存在です。
『インフルエンサー』
乃木坂の転換期をあげるとすると、それぞれのファンの数だけ意見があるとは思うのですが、今回は17thシングル『インフルエンサー』をあげたいと思います。
発表当時は史上最高難度の高速振り付けとして、メンバーも振り入れで涙を流したというエピソードもある楽曲です。この楽曲は乃木坂の大樹橋本奈々未さんを失ったあと、白石麻衣、西野七瀬の当時のエースのWセンターで迎えた楽曲でした。
バナナマンの日村さんも加わってのパフォーマンスでも思い出の楽曲ですが、当時、日村さんに振り付けを教える、この楽曲の振付師であるSeishiroさんの振りを改めて見てみると、本当にキレッキレで、高速振り付けなのにキレがものすごいレベルであることがわかります。まるで、空手の型の世界チャンピオンの演舞を見ているかのようです。
出典:Youtube第67回紅白歌合戦
最近の乃木坂の『インフルエンサー』のパフォーマンスを見ていると、楽曲の発表当時に比べ格段に進化していることがわかります。キレッキレで当時のSeishiroさんを見ているかのようです。耳を澄ませば空手の型の演舞のように、服が擦れる音が「バッ、ザッ」と聞こえてきそうです。
最高難易度の振り付けだったはずなのに、それほどキレッキレのパフォーマンスを行うことができる、このキレッキレのパフォーマンスが、現在の乃木坂46のパフォーマンスの特徴の1つと言えるでしょう。
『シンクロニシティ』
2つめの転機は乃木坂の顔と呼ばれた生駒里奈の卒業シングル『シンクロニシティ』です。
『シンクロニシティ』のパフォーマンスはまるで天女かと思えるような、優雅でそしてしなやかなパフォーマンスです。
結成当初から乃木坂46には、確かに芸術的でしなやかなパフォーマンスができるメンバーが何名か存在していました。
ただ、このしなやかさにスポットを当てて、その後23rdシングル『SingOut!』で花開くことになったきっかけとして、『シンクロニシティ』は重要な楽曲です。
ただ、今回取り上げたいのは、乃木坂46のしなやかなパフォーマンスではありません。グループとしてのフォーメーションで美しさを表す、凝集性の高い「融合の美」です。
2018年レコード大賞を受賞した『シンクロニシティ』のパフォーマンスは本当にかつてないほどにすごいパフォーマンスでした。
出典:テレビ朝日ミュージックステーション
優雅でしなやかな天女たちが気持ちを一つにして、すべてのメンバーが1人欠けたとしても表現することができない、それぞれのメンバーの融合の美を感じるパフォーマンスでした。このパフォーマンスを見て、アイドルグループの1つの完成形を見たような気がしました。
それぞれのメンバーの個性を大切にしている乃木坂らしい、それぞれのメンバーの融合の美で魅せるパフォーマンスに心を打たれました。
相反する特徴
乃木坂46のパフォーマンスの特徴として、パフォーマンスのキレ、そして融合の美という2つについて見てきました。
このパフォーマンスのキレと融合の美という2つの特徴は、実は相反する性質を持っています。キレがあるパフォーマンスには『インフルエンサー』のようにある種高速で、そして激しい動きが必要になります。一方融合の美というには、全メンバーで心を一つにして全体として魅せるパフォーマンスであるため、あまり早い動きであれば、融合することができません。
乃木坂46はパフォーマンスの特徴である、キレあるパフォーマンスと融合の美という特徴の両立というある意味ジレンマを抱えていたように思えます。
1期生の卒業も続いたため、再度楽曲のパフォーマンスを組み立て直す必要に迫られたことも、あったことでしょう。乃木坂メンバーらしく、4期生も十分戦力として機能してきた現在、いつキレと融合の美を合わせた、これぞ乃木坂!と思えるパフォーマンスの楽曲が登場するのか、実は密かに期待していていたのです。
『Route 246』
コロナ禍に突入した2020年。エンタメ界も大きな打撃を受け、乃木坂46も例外ではありませんでした。2020年にリリースされた楽曲は1曲のみ。こんな未曾有の状況の中に、ついに待ち望んだ楽曲が登場しました。
配信限定シングル『Route 246』です。
出典:テレビ朝日『ミュージックステーション ウルトラSUPER LIVE2020』
この楽曲のパフォーマンスを初めて見た時に感じたのは、キレッキレのパフォーマンスの方でした。90年代を席巻した懐かしい響きの打ち込み小室サウンドに、きらびやかな衣装で揺れるパフォーマンスの乃木坂メンバー。新旧の融合が新しい未来の形を作り出したような気がしました。
ちなみに国道の246は学生の頃によく使った道路なんですが、おっきなバイクで走ってるとなぜか必ず止められて、そして違反をしてなくても、これが違反だあれが違反だと言われて取り締まられた思い出の道路です。ハンドルにバンダナを巻いてたら取り締まられたのには驚きました。あれって違反じゃ…
あ、あぶないあぶない。話が脱線してしまいすみませんでした。
その後『Route 246』のパフォーマンスは進化をみせます。
12月に入って 『CDTV ライブ! ライブ!』のマザー牧場で見せた『Route 246』のパフォーマンスは、確かにキレのある動きではあったのですが、なぜかしなやかさを感じ、そして『シンクロニシティ』のようなフォーメーションでの融合型で、圧巻のパフォーマンスに進化を遂げていました。
ダンスミュージックから、感動型の楽曲に変わっていたのです。
どこがどう変わっているのかは、ダンスの専門家のWebサイトにお任せするとして、ダンス素人のわたしは、そう感じてしまうほど、メンバーの気持ちがまとまったパフォーマンスでした。
パフォーマンスをもう一度構築することですら大変なのに、別の要素を加えてレベルアップしてファンに提供することは、本当に並大抵な努力ではなかったことでしょう。また12月といえば年末で一番忙しい時期に、パフォーマンスを仕上げてきたことが本当にすばらしいと思います。
そんな時でした。2020紅白歌合戦の乃木坂46の歌唱曲が『Route 246』であることをが発表されました。
こんなご時世だからこそ、みんな無事で過ごせたことに感謝しつつ『Route 246』のパフォーマンスに注目して楽しませてもらいたいと思います。
出典:フジテレビ『2020FNS歌謡祭』
2021年結成10年目の節目を迎える乃木坂46。
すでに1月発売の26thシングル『僕は僕を好きになる』は新しい、パフォーマンスの融合を踏襲するシングルで、これからまた、音楽業界で話題の楽曲となることでしょう。
ますます進化を遂げている乃木坂46が、2021年にどんなパフォーマンスをファンに提供してもらえるのか、とっても楽しみになったかえるがおなのでした。